夜勤明けに朝日が上がる東の空を見上げていたら、少女がこちらを見ている気がする
艶のある黒髪が印象的な小柄な女の子、あまりの美しさに思わず見惚れてしまった
そして彼女の瞳から流れる涙…

「大丈夫ですか?」
思わず声をかけた

彼女は月にいきたいと言い出した
ひっ、ひっ、と喉からなのか鼻からなのかわからない、声とも息ともつかない音を漏らす

泣きたいのを必死に堪えている
そんなところだろうか



「おじさんは知っていますか」


「何を」


「月の本当の名前を」

「本当の名前?」


「カリヲプリテ」

「かりをぷり?」

彼女は月をカリヲプリテだと言った