その日、クラスの子は夜の海みたいに静かだった。
何かの前触れじゃないかとか、これもいじめの一種なのかと疑った。
でも、みんなが気まずそうに顔を寄せ合っているので、周のお父さんが近所に真実を打ち明けたのは明白だった。
孝橋先生がみんなの顔色を見ずに「きょうは親が集まる会議があるから、緊急で部活動はなしだ。すみやかに下校してくれ」と言った。
クラスの動揺はどんどん広がっていき、全員が不安を胸に抱いていたはずだ。
「…一花、周静が休みなのってあんたのせいなの?」
席に着いた友梨が振り返って訊ねてくる。その様子から周のお父さんにあたしのいじめのことを聞いていないのだろうと思った。
「そうかも…」
否定できずに言うと、友梨は顔をこわばらせた。
「何とも思わないの? ずっと一緒にいた幼なじみなんだよ? あんなにも周静のことが好きだったのに」
「周には友梨がいるでしょ」
「そうだけど…、でも周静は一花と私の三人でいたいって言うの」