塩尾瀬に出会ってから、花の育て方を教わってから、ずいぶんと日常は変わった。
 いまは希望の種を蒔いて、芽が出るのを待つ時期だ。

「…まだ、あの学校に通っていたいの」
「そう…」
「あたし、最近おばあちゃんに花の育て方聞いたでしょ。ちょっとずつ変わってる最中なの」

 ふ、とおばあちゃんの口元が緩んだのを見て、あたしは胸を撫で下ろした。
 おばあちゃんが眠った様子を見て、あたしも自分の布団にもぐった。
 周と友梨はこれからどうなってしまうんだろう。

 まさか周のお父さんにいじめられていることを知られてしまうなんて。
 いつまでも元気で明るくて、どこにでもいそうな子どもだと思っていてほしかった。

 誰かの言葉に傷ついてめそめそ泣いて、傍にいるひとに依存するような、普通じゃない子どもなんて思われたくなかった。