「周静や満星のひとが近づかないように言いつけておく。夏休みが終わるころまでには、いろいろ話もまとまるはずだ」
「あたしが言わなきゃ、こんな大事にならなかったのに」
「きっかけはお前じゃない。自分を責めるところは一体誰に似たんだ」

 呆れているような言い方は周とそっくりだった。
 周のお父さんがあたしの隣に控えていたおばあちゃんに視線を向ける。

「ばあさん、俺が全部片をつける。何も案ずることはない」
「…近所のひとにどう説明すれば?」

 おばあちゃんの声は震えていて、涙がいまにも零れ落ちそうだった。

「私が傍にいながら何にもできなかった。こんな私の説明を聞いても…」
「嘘をつかなければいい。一花のためにも、大人が協力するべきだ。様子を窺って黙ってる時間はもう終わりだ」
「……そうね」
「十静、私はどうすればいいの?」
「理花は一花の傍についてやってくれ」

 逞しい背中が玄関の向こうに消えるまで見送ると、おばあちゃんは門のところで待ち伏せていたひとに近寄った。あたしは居間でお母さんにそっと触れられると、耳元で「気付かなくてごめんね」と囁かれた。