「それはマネージャーがする仕事ではないし、校庭を走ったり、走り込みに行くのもありえない。周静から一度もそんな話を聞いたことがないから、アイツは本当にずっと見て見ぬふりしてたか、観戦気分で見ていたんだな。胸糞悪い」

 友梨と江連先輩のことも続けて打ち明ける。
 おばあちゃんが背中を擦っていてくれなかったら倒れていたはずだ。もう、誰にも話すことはできないだろう。

「…きょう限りで忘れたいんです」
「ああ、俺が責任を持って周りに説明する」

 周にそっくりなのに、周とは違って手を差し伸べてくれる。助けてくれる。
 でも本音を言えば話したくなかった。知らないでいてほしかった。
 体中に染み込んでいた毒を抜いてくれたはずなのに、何か大切なものまで奪われてしまったような気分だ。