太陽が空に留まり続ける時間が長くなり、あたしがおばあちゃんの家に帰った時も、まだ日差しが降り注いでいた。
「ちょっと一花ちゃん、十静さんが来てるわよ」
おばあちゃんの家の前でうろうろしていたひとは、友梨のお母さんだった。
いままでに何回か見かけたことがあるけど、どうして門の前に張りついて、家の中を覗くような動きをしているんだろう。
怪しまれて通報されたら、すぐに警察に捕まってしまうのに。
「…そう、なんですね。何も聞いてなくて」
「あしたでいいから友梨乃に教えてあげてね。きっと一大事なんだから」
控えめな化粧に、薄く色づいた唇、どこか張りつめた雰囲気の友梨のお母さん。
声はハーモニカ―みたいに甲高くて、目つきは猫みたいに鋭い。
「それと一花ちゃん。過保護だってわかってるんだけどね、友梨乃が周静くんと仲良くしたいのに貴方が邪魔するって言うの。それ本当?」
違います、って言いたい。でも言ったところで信じてくれないのは目に見えてる。