玄関を開けると、門のところに周のお父さんがいた。
さっきまで太陽が顔を見せていた空は、いつの間にか雲が広がっていてどこにも光が差し込んでいない。
「変わりはないか」
どんなに暑い日でも警察の服をきちんと着込む周のお父さん。そういえば最近は帰り道で会うことがなかった。
お母さんもあたしの帰る時間がまばらだったから教えていないんだろう。
「はい、元気です」
「そうか。周静がお前と登校できてないらしいが、ケンカしたのか」
前までは何でも見透かされる瞳に縋っていたけど、なぜかきょうは胸中に不安の色が広がっていく。
「…あたしが、違う部活に入って。その、朝から行かなくちゃいけないから」
「いじめられてないか」
いつの間にか自転車を止めて、門に手をかけている周のお父さんを見上げた。