レジの台に置かれた箱を持ち上げると、あたしの知らないロボットが描かれている。
「……プラモデルも売ってんだな」
まだ展示されたロボットを見ていた塩尾瀬は、その細かさに驚いているのか、声が弾んでいた。
「そうだよ。興味あるなら、君も作ってみるといい」
「じゃあ来月、給料入ったら」
ふたりとも寡黙っていうタイプに近いし、意外と話が合うのだろう。
「そうだ、一花ちゃん。また来てくれたらぜひ渡したいものがあって」
「渡したいもの?」
おじいちゃんが店の奥から持ってきたのは、懐かしいフィルムカメラだった。
「これ、もうコンビニに売ってないから買えないと思ってたけど…」
「まだ在庫があってね。持って帰ってほしいんだ。一花ちゃんが言ってただろう。限られた枚数で、現像するまで撮った写真がわからないところが好きだって」
「…おじいちゃん、よく覚えてるね」
「それくらい一花ちゃんの撮った写真が好きなんだよ。現像して写真に印刷してあげるから、撮り終わったら持ってきておくれ。むかしと変わらず27枚写真が撮れるよ」
「ありがとう、撮り終わったらすぐに持ってくるね! お金は…」
「いい、待ってるよ」
あたしたちのやりとりを見ていた塩尾瀬は「よかったな」と言った。