前に来たときと何も変わっていない雑貨屋は、相変わらず絵の募集のポスターや、東京の美術館のお知らせとかいろいろ貼ってある。
「あ、いまはスノードーム体験してるみたい」
「ふうん、自由研究でやったことある」
「そうなんだ。難しそうなのに器用なんだね」
おじいちゃんは店内の奥で作業をしていて、あたしたちが店に入ったことに気付くとすぐに顔を見せてくれた。
チェック柄のシャツに楽そうなズボン。髪はほとんど白くて、ちっちゃな丸眼鏡をかけているのがチャームポイントだ。
「ああ、一花ちゃん。ずいぶんと久しいけど、元気だったかい」
「すっごく元気だよ、おじいちゃん」
涼しい店内を見渡す塩尾瀬は、あちこちに飾られた写真に気付いたようだ。
「写真、まだ飾ってくれてたんだね」
「そりゃそうだろう。自慢なんだから」
あたしが賞をもらったときの写真は、職員室前だけでなくここにも飾られている。
「おじいちゃんは元気? またロボット作ってるの?」
塩尾瀬はあたしに視線を向けた。あたしが指差した先にはおじいちゃんが組み立てたロボットが展示されている。
ちょうど両手に乗りそうな大きさだ。
「一花ちゃんに感化されておじいちゃんもいろいろ応募してるんだ。展示会とかに行くとさ、同じようにプラモデル好きなひととの出会いが多くてね。交流が増えて嬉しいよ」
「え、すごいね」