お母さんがおばあちゃんの家で寝泊りするようになってから、スーパーでお弁当を買ってきたり、あたしが料理に挑戦することが増えた。
―お手伝いなんて面倒だと思ってたけど、やってみたら意外とできそう…。
学校から帰ると、あたしはさっそく洗濯物の山を片付けることにした。
「大丈夫よ、一花ちゃん。洗濯物くらい…」
「あたし頑張ってみたいの」
おばあちゃんの布団の近くでタオルを畳む。上手く折りたためなくても何度か繰り返したり、上下にひっくり返したりしてみる。
温かい日差しをたっぷりと浴びたタオルは、乾燥していて畳みづらかった。
「…おばあちゃん、きょうね、写真撮ったの」
塩尾瀬とコンビニで印刷した写真を見せた。
青々とした葉っぱがぶれることなく写されていて、あたしはシャッターを切れたことに涙が出そうなほど安心した。
「実は写真部は今年の初めに退部しちゃったんだけど、また撮る機会があって…」
写真を眺めていたおばあちゃんは静かに涙を流していた。
「…一花ちゃん、よかったねえ」
おばあちゃんはその写真を気に入ってくれたのか、買い置きしていた写真立てのひとつに入れて飾ってくれた。