家に帰ると、おばあちゃんは布団から起き上がれるくらいに回復していた。

「ただいま、おばあちゃん。具合よくなった?」
「平気よ。ごめんなさいね、ひとりにしてしまって」
「ううん、慣れてるから」

 お母さんはまだ仕事が終わっていないのか、家のどこにもいなかった。

「…きょうは、あたし、ご飯作ってみるから」

 あたしが腕まくりしながら言うと、おばあちゃんは目を見開いた。

「それはいいんだけど、料理わかるの?」
「……頑張ってみる」

 ケータイがあれば簡単に料理を調べられたけど、あたしは持っていないから、おばあちゃんから作り方を教わることにした。
 しばらくして出来上がった料理を見たお母さんは買ってきたご飯を食卓に並べた。

「そんな焦げたものおばあちゃんには食べさせられないわ」
「理花、せっかく一花ちゃんが作った料理なんだから私も食べたいわ」
「もう…異常がまた見つかったら…」

 そう言いながらおばあちゃんとお母さんは、あたしが作った野菜炒めを食べてくれた。
 お母さんはすぐに買ってきたお弁当を食べ始めたけど、おばあちゃんは嬉しそうな顔で「素敵な料理ね」と言ってくれた。