瞬きを繰り返したあたしに塩尾瀬は不思議そうに首を傾げた。

「なんだよ、嬉しくないのか」
「…あんな、写真。早く忘れたくて」
「あんな?」

 あたしの言葉が気に入らなかったのか、塩尾瀬は手を離した。

 でも今度は顔を近づけると、あたしの目をじっと睨んだ。
 あまりにも鋭い視線にあたしは慌てて逃げようとしたけど、塩尾瀬が優しく肩に触れたので固まってしまう。

 はく、と唇が動いた。あたしは喉奥に絡んだ言葉を言おうとして、結局何も言えない。

「あの写真に一目ぼれしたんだよ、俺は」
「ひ、ひとめぼれ?」
「そうだ。俺は自分でも驚くほど、目を奪われた写真を撮ったお前のことを尊敬してるんだ」