「一花ちゃん、お勉強頑張ってくれたらおばあちゃんはとっても嬉しいわ」

 おばあちゃんはどれほど勉強が大切なことか教えてくれるけど、あたしはどうしても勉強を好きになれない。

「…なんでおばあちゃんが嬉しいの? あたし、おばあちゃんと英語で会話しないし、おばあちゃんと海外に行く勇気もないよ」
「できることが増えるじゃない。英語もそうだけど、数学とかね。これから先いろんなひとのお手伝いができるのよ」
「…畑とかの手伝いにも役立つの?」

 おばあちゃんが作った野菜は、とてもみずみずしくて近所のひとにも人気だ。
 足腰が弱くなっているおばあちゃんは畑仕事を近所のひとに手伝ってもらいながら、時々道の駅に持っていく。

 あたしが手伝おうとしても「ゆっくりしていていいのよ」と遠慮されてしまう。

 邪魔だから手伝わせないのか、それとも鈍くさくて上手にできないあたしに呆れているのか。おばあちゃんはそんなひとじゃないってわかってるのに、勝手に想像して勝手に傷つく自分が大嫌いだった。