「……周、もう不良とつるむのやめたら?」
「…そーするわ」

 到着したパトカーの中から周のお父さんが転がり出てきて、いまも気絶したままの不良を見て、次に周を見た。
 さらにあたしに視線を向けると、珍しく無表情が崩れた。

「おい、何で一花がいるんだ」
「親父俺骨折れてんだけど」
「それより一花、ケガはないか?」
「おい、無視するな」

 不良を蹴飛ばしても気にせずに駆け寄ってきた周のお父さんは、そのままぐるぐるとあたしを回した。
 塩尾瀬にもやられたので、あたしはすぐに目を回してぐったりする。後頭部が地面と激突する前に周のお父さんが抱き留めてくれた。

「一花! 誰だ、一花をこんなに苦しませたヤツは」
「親父が悪いんじゃねえの」
「周静お前ってやつはな…、ハァ。もういい。転校はナシにしてやるから学校に行ってくれ。不良とは縁を切るように。いいな」
「……わぁったよ」

 薄れゆく視界の中で周が安心したように笑ったのが見えた―。