「また今度」
「ハーッ、じらしやがって。俺の目の黒いうちは絶対に嫁に行かせないし、あの手この手で妨害するからな。覚悟しろよ」
「浅咲、こんな幼なじみと本当に一緒にいたいのか?」
「へへ…、もう慣れてるから…」
突然ぐっと顔を近づけた塩尾瀬に何か言う前に、唇が重なっていた。
周はちょうどこちらを見ていなかったようで、真っ赤な顔で慌てふためくあたしに「告白まがいなことを言われていまさら照れてんのか?」と勘違いしていた。
「俺、先に帰るから」
「そーしろ。無免許黙っててやるから、貸しナシな」
「ん、浅咲またあした」
「うっ、うん…またあした」
「声ちっさ」
周のからかいを無視してさっさと帰って行く塩尾瀬を見送った。
バイクにまたがる塩尾瀬かっこいい、とときめく暇もなく塩尾瀬は姿を消してしまう。