周から離れた塩尾瀬があたしをぐるぐると回した。ぐわんと頭が揺れて目眩がする。

「え、なに? 目が回るんだけどっ」
「ごめん、ケガしてないか気になって」

 やったこともやりたいとも思わないスケートみたいに回転させられたあたしは、そのまま塩尾瀬に抱き寄せられて言葉を失う。

「え、な、なに?」
「よかった…無事で。マジで焦った。浅咲がひどい目に遭ってたら俺どうなってたかわかんない」
「お前好きなんだろ、一花のこと」

 砂利の上だというのに周は気にせず楽な体勢を取ってる。
 そのまま寝転んでしまわないか、色んな意味で不安になった。

「意地張ってねえでコクって振られろ。一花に近寄んな」
「まだ言わない」
「まっ、まだって…!」

 それって期待してもいいのだろうか。言葉を上手く言えないあたしを見て、塩尾瀬が髪を掻き毟った。珍しく動揺しているみたいだ。