真崎さんのほうが周より優しいことはわかった。
 あたしが頬を膨らませてそっぽを向くと、指輪がいくつもついた手のひらが頬をくすぐる。

「ウブでいいね。好みだよ。俺二十歳で無職だけどお話相手になろっか」
「真崎やめとけよ、そんな悲しい自己紹介」
「漫才でも見せられてんのか?」

 外野がまたざわざわする中、どこからかバイクの音が鳴り響いた。

「おい、誰か仲間呼んだのか? もう八人もいるしいらねえよ」
「人数多いと逃げるときに大変だしな」
「まさかサツのバイクか?」

 真崎さんを置いてさっさと外の様子を見に行った七人。

「すごい…、小人みたいにあっさりと出て行った」
「フ」
「一花、お前もう黙ってたほうがいいぜ…」

 まだ至近距離で見つめてくる真崎さんを押しのけようと、胸板をぐっと押した。