夏の日差しが少しずつ弱まっていく。明るい太陽は山の向こうに半分ほど隠れていた。

「…周は、そこにいるの?」
「ああ、いるぜ」
「生きてる?」
「まだ生きてんじゃねえの。あっちには仲間が三人いるからな」

 いままで黙っていた紫がかった髪のひとが何かを差し出した。
 それを見る前にのどかさんが暴れようとした。それを黙らせるためにか、男のひとが手を振り上げる。

「叩かないで! 叩いたら、あたしがやり返すから!」

 手を振り上げていたひとがあたしを見て、すぐに吹き出した。
 他のひともつられて笑っているのが不快でしかない。

「はーっ、お前みたいな貧弱な女がどうやり返すんだよ?」

 もう一度突き出されたそれはケータイだった。受け取ってみるとひび割れた画面が光った。
 表示された待ち受けに息が詰まる。

―「周静の待ち受けって、一花がむかしに撮った写真なのよ」

 友梨の言葉通り、表示された写真に身に覚えがあった。