「よぉ、アササキちゃんだっけ。話はすぐに終わるから扉閉めてくんない?」
さっきの五人グループのひとがあたしを見て笑う。みんなはっきりとは見えないけど、顔立ちが幼く見える。
そのうちのひとりが、のどかさんを人質みたいに背後から抱きしめている。
のどかさんが首を振っていたけど、あたしは彼女を置いて逃げることはできなかった。
「ハナダってお前の幼なじみだろ。アイツの親父がさあ、警察官だったみたいで」
一番背の低い男のひとがせせら笑いながら言う。あたしの自転車が止めてある場所には三台バイクが止めてあった。
「俺らの仲間がその親父に捕まって施設にぶち込まれたんだよ。許せねえよな、ちくったのはハナダだぜ」
「行くあてがねえって言うから一緒につるんでやったのに」
「だからこっちもやられたらやり返す。そういうわけでいまハナダに鉄槌を下したんだけど、まだ腹の虫が治まらないんでな。アンタについてきてもらいたい」