いつも通り学校から喫茶店に向かい、杉枝さんにコーヒーの淹れ方を教わっていたときのことだ。
「何かきょうはお客様多いですね」
店内を見渡しながらのどかさんに言うと、彼女はエプロンに入ったケータイを見た。
「…お兄ちゃんにヘルプをお願いしたほうがいいのかしら」
「様子見しましょう」
「あの五人グループは何時間いる気よ。…はぁ、浅咲さん。一応コーヒーの補充頼める?」
あたしの名前を聞いたのか、のどかさんが言った五人がこちらを見た。
どこか嫌な視線に冷や汗をかきつつ、コーヒー豆が置かれている倉庫に向かった。
戻ってくると、コーヒー豆を受け取ったのどかさんが目を瞬かせた。
「エプロンの可愛いわね。貰い物?」
「あ、幼なじみから」
「羨ましい!」