周って意外に嘘つくんだ、と知りたくない情報を得た気分になる。
 友梨も同じだったのか顔をゆがめた。

「周がその話を塩尾瀬に言ったとき、あたしもいたけど…」
「嫉妬したのよ。一花と塩尾瀬くんが仲良くなってたから」
「へー、アイツ子どもっぽいな」

 ちょっとバカにしたような顔で笑う塩尾瀬に、友梨はどっちもどっちだと言わんばかりの表情を浮かべた。

「あの不良って隣町のひとよね。一花気をつけなさいよ」
「う、うん…」

 この前、周と一緒にいたバイクの集団を思い出して、すでに出会ってしまったようなものだと手遅れな感じが否めない。

―でも大丈夫。バイクの音が聞こえたのは休みの日で、きょうは平日だし。それに何かあっても周が迎えに来てくれるはずだから…。

 そんなあたしの気持ちは無慈悲にも裏切られることになる。