「…塩尾瀬がお守りくれて本当に嬉しかったんだ。これからもいろんな花を塩尾瀬と育てたいな」
「うん」
「それでね、秋に育てる花のことなんだけど。マーガレットとか、セネッティ…いろいろあるみたい。図鑑を見て知ったんだけどね」
優しい瞳を向けられて何度か言葉がつっかえる。
塩尾瀬はとても不思議なひとだ。
憂いた顔を見せるときもあれば、突然優しい瞳を見せてくれるときもある。
―どんな気持ちなのか、心が読めたらいいのに。あ、でもいまの顔可愛くないなって思われてたら…知りたくないかも。
「ちょっといちゃつかないでよ、気まずい」
「友梨、おはよう」
カバンを肩に引っ掛けた友梨の隣に、きょうも周はいない。