机に突っ伏して、意味もなく息を吐き出した。お母さんの赤らんだ顔が頭の奥にこびりついて取れない。
「…一花ちゃん、いいかしら」
どこか疲れ切った声を聞いてすぐに襖を開いた。
青白い顔をしたおばあちゃんが、お盆にお茶菓子をのせてあたしを見上げる。
「お、おばあちゃん、その…これから、勉強するつもりで」
「違うわ、勉強の様子を見に来たわけじゃないの」
机の上に放置された教科書を見ておばあちゃんは笑った。
あたしは胸を撫で下ろしながら、おばあちゃんと向かい合ってお菓子を食べる。
「お母さんのこと許してあげてね。私の病気を…お母さんも勘付いていて、でも知るのが怖いから自暴自棄になってるのよ」
「……あたし、お母さんのこと苦手。あたしのことなんかどうでもいいって感じだし」
「それはありえないわ。一花ちゃんのことが大好きよ」
お母さんはあたしが帰ってきたときも、周のお父さんのことばかり話していた。
「…どうしてお父さんのことが好きなはずなのに、周のお父さんに執着するの」