「サツに目ぇつけられてる。不良って枠からはみ出そうなことをし始めてるらしい。お前は息子と仲がいい女だからな、忠告したぜ」
「あ、ありがとうございます…?」

 休憩に入っても、まだ塩尾瀬のお父さんは新聞紙を広げて寛いでいた。

「あの、休憩に入ったのでお話したいんですけど」

 幸さんやのどかさんの視線が後頭部に刺さっているような気がしたけど、あたしは大切なアルバムを見せたくて勇気を振り絞る。

「ン、あー何?」
「塩尾瀬と一緒に育てた百日草の写真なんですけど…」
「へえ、どれ」

 意外にも興味を示してくれて、アルバムの一ページをじっくりと眺めていく。
 花が開花するまでの短い一瞬を、彼は目に焼き付けていった。