初めて給料が入ってから数日。もう一度作ったアルバムを持って、喫茶店に向かった。
九月が終わり、花まつりのことを聞けないまま、日常が過ぎていく。
―来年も開催してくれるといいな…。
「あ、浅咲ちゃん。きょうも塩尾瀬くんのお父さん来てるよ」
「そうなんですね、ちょうどよかった!」
「それアルバム?」
塩尾瀬と一緒に育てた百日草のアルバムを幸さんに見せる。幸さんは青い髪を卒業していまは甘夏色だ。
「いいねえ、え、待って。ちょうどよかったって言ってたよね。まさかお父さんに見せる気? あんまり近寄らないほうがいいと思うんだけど」
「でも毎週日曜日に、同じ時間帯に来てくれますし。いつも話しかけてくれますよ」
「不思議だね…なんでだろう」
幸さんがアルバムを見終えたので、休憩時間に見せに行こうとロッカーに仕舞った。