袋の中から可愛らしいテントウムシのヘアピンが出てきて、最近貰ったキーホルダーが脳裏をよぎる。

―これ、周のお父さんから貰ったキーホルダーと似てる…。

「一花は髪短いから、縛るものよりピンのほうがいいと思って。つけてやるよ」
「あ、ありがと」

 親子そろって似たものをくれたことは内緒にしておこう。
 おでこに周の手が触れて、パチンッと軽い衝撃を感じる。その音に驚いて目を瞑ってしまうと、周が口元を緩ませた。

「似合ってるぜ」
「ほんと? 大事にするね」

 家に帰ったら鏡で見ようと、楽しみがひとつ増えた気分になる。
 あたしの表情を見ていた周は本当に珍しく、歯を見せて笑ってくれた。