病室を出ると、一時間ほど待たせてしまったはずの周がいなくなっていた。
「あれ…、近くを散歩してるって言ってたけど。まだ戻ってないのかな」
病院のロビーを通り過ぎて外に出る。色とりどりの花には蝶や蜂が群がっていて、もっと色が溢れていた。
ぼんやりとそれを見ていると、一花、と背後から声が聞こえた。
「わりぃ。近くの店見てきたんだよ」
「あたしこそ待たせちゃったから大丈夫」
病院を離れてバス停に向かう道中、周が紙袋を差し出した。
「プレゼント。俺の誕生日期待してるぜ」
「ありがとう! なんだろう、お菓子?」
友梨と似たようなことを言う周に笑いながら、紙袋を覗いた。
紙袋の中にはさらに小さな花柄のラッピング袋が見える。
「開けてもいい?」
「おぅ」