おばあちゃんは不意に窓の外を見た。緑の葉が生い茂る様子を眺めているのか、心ここにあらずといった感じだ。

「お母さんから聞いたけれど、バイトしてるみたいね。無理してはダメよ」
「…うん、無理はしてないよ。結構楽しいから」
「それはよかったわねえ」

 まだまだ覚えられないことが多いけど、幸さんの言う通りやりがいを感じる。
 あたしの笑顔を見たおばあちゃんは嬉しそうにアルバムを抱きしめた。

「このアルバム…おばあちゃんが持っててもいい?」
「もちろん。素敵な花だから、おばあちゃんも気に入ってくれると嬉しいな」

 言いたいことを言い終えて安心したのか、おばあちゃんはすぐに眠ってしまった。

 もっと話したくても、今度こそ嘘偽りのない話をしたくても…おばあちゃんはあたしを置いて眠ってしまう。
 その姿を見ていると、言いようのない不安が胸に広がっていくのだ。