夏に咲く花があたしたちを歓迎するように揺れている。
病院の周りに咲く花を見たあと、家から持ってきたアルバムを抱きしめた。
「一花ちゃん来てくれて嬉しいわ。お誕生日おめでとう」
「ありがとう、おばあちゃん。体調は大丈夫?」
「ええ、もう平気よ。手術も無事に成功したから、あとはリハビリを頑張って退院するだけね」
「退院したら…、家には帰ってこないんだよね」
点滴が繋がれたおばあちゃんの腕を見つめる。庭であちこちに伸びている枝みたいに細い。
「畑もできそうにないし、まだ悩んでいるところなの」
「そっか…、あたしのことは気にしないでね。もし畑がやりたくなったら手伝うし、おばあちゃんの好きなようにしていいから」