「お父さん怒るよ」
「先にアイツが俺を怒らせたんだ。俺は一花と友梨乃といれたらそれだけでいいのによ」

 変わらない周の言葉にうつむくと、周の使い古したサンダルが目に留まった。

「俺がお前にしたこと、学校でのこと、全部許したのか?」
「……許すも何もあたしは辛かったけど受け入れていたから」
「いじめられたままでよかったのかよ」
「よくないけど…、ふたりの傍にいれるならそれだけでよかった」

 いままで伝えなかった思いを聞いた周は驚いているようだった。

「…あたしはふたりの傍を離れたんじゃなくて、やりたいことが見つかったから。ただ自分に出来ることを増やしたかっただけで」
「でもアイツが好きなんだろ」
「……好きだけど、彼女の代わりになっちゃって」
「代わり?」