以前のあたしと同じ状況になっていることを聞いて、まっすぐに伸びる木みたいに足が止まった。
―まさか孝橋先生が言いよどんでた周の話って、転校のことなのかな…。
「周いなくなっちゃうの?」
あたしの泣きそうな声を聞いた周が振り返った。
「いや、俺も転校したくねえから家にあんま帰ってねえんだよ。無駄な抵抗かもしれねえけど」
コンビニを通り過ぎて、塩尾瀬が教えてくれた道を周は迷うことなく歩いている。
「……最近何してるの?」
「隣町の不良とつるんでる」
夜中に聞こえてきたバイクの音を思い出して、まさかそのひとたちと一緒にいるのではないかと体中が強張った。