カバンを持ってそのまま門に向かう。きょうはバイトが休みだったから、おばあちゃんの病院にも行きたくて自転車に乗ってこなかったのだ。

「周っ、誰を待ってるの?」

 門に背中を預けてぼんやりしていたのは少し髪が伸びた周だった。タンクトップに薄手のシャツを羽織り、ジーンズを穿いた周の姿は帰宅する生徒から目立っている。
 一番視線が向けられてるのは頬に貼ってある絆創膏だろうか。

「一花誕生日オメデト。帰ろうぜ」
「何でこっちの門にいるの?」
「友梨乃に朝っぱらから家のチャイム鳴らされて、学校終わる時間に裏庭のほうの門に来いって言われたんだよ」

 周とわざと一緒にいさせるような友梨の行動に、あたしは裏庭に戻って聞きたくなった。

「やっぱり友梨も一緒に…」
「いいから」