「よくいじめてた相手の連絡先が知りたいなんて思うわね…。あと、メアド交換より、いまはアプリなのよ」
「アプリ…? そういえば友梨と周ってケータイ持ってるの? あたし見たことないけど」
「持ってるけど敢えて一花の前では使ってないのよ。散々バカにしたから気まずいし」

 知らないところで気遣われていたことを察して、ちょっといたたまれない気持ちになる。

「それに周静の待ち受けって、一花がむかしに撮った写真なのよ。だから余計に見たくないから一花の前で使わないでって言い続けたの。その結果持ってるけど使ってないのよ」
「あたしが撮った写真って…」

 周の家に飾ってあったものだろうか。それほどまでに周が大事にしてくれていると気付いて、目頭が熱くなった。
 その日は、塩尾瀬は学校に来なかった。体調不良だと先生は言ってたけど、もしかしたら花屋さんが忙しいのかもしれない。

―塩尾瀬にただ一言、おめでとうって言われたかった、なんて贅沢な願いだよね…。