浮かれた気持ちで朝を迎えると、まだまだ暑い日差しを浴びながら裏庭に向かう。
ここ最近塩尾瀬はいなくて、いつもはもっと遅くに登校する友梨が花の様子を見ていた。
「おはよ、友梨。早いね」
「これ、あげたくて」
制服のスカートを押さえながら友梨の隣に屈むと、水玉模様のラッピング袋に包まれた何かを押し付けられる。
中身がハンドクリームと香水だとわかると、驚きで尻もちをつきそうになった。
「え、あ、ありがとう! 誕生日覚えててくれたの?」
「まあね。私と周静は冬生まれだから、お返しは倍でよろしく」
「わかった、けど嬉しい…。あ、お母さんからケータイ買ってもらったの。メアド交換したくって」
すると、友梨はどこか微妙な表情を浮かべた。あたしはどんな気持ちなのかわからなくて首を傾げる。