―チリンッ。
「周のお父さんかな」
鳴り響いた音に気付いて、ティッシュで頬を拭う。案の定ティッシュは涙を吸い取った。
門のところでパトロール中の周のお父さんが、あたしをじっと見つめていた。
「泣いたのか?」
「な、なんのことですかね?」
おばあちゃんがいなくなってから放置された庭園に視線を向ける。あたしには枝や余分な葉を切り落とす作業なんてできない。
そういうのが得意な林形さんは畑の手伝いがなくなってからは全く見かけなくなった。
「周静と関わってないだろうな」
「えっと、周とは会って…」
前に周の家に行って押し倒されたのはノーカウントでいいだろうか。
門のところまで近づくと、痩せて頬がこけているような周のお父さんの姿が目に飛び込んできた。