塩尾瀬と初めて撮った百日草の芽の写真から始まり、開花したあとの写真までたくさんある。

「アルバムに仕舞ったらおばあちゃんに見せに行こうかな」
「そうやっていろんな花の写真撮って、いつか塩尾瀬くんに見せれば? 好感度上がるかもよ」
「……そうだね」

 学校で普通に会話するようになってから、友梨は提案してくれることが増えた。

 ちょっとだけ優しくなった友梨と別れると、さっそくおばあちゃんの家の押入れを探ってアルバムを見つけ出した。

 辞書みたいに分厚い写真の束を、一枚ずつ整頓していく。
 芽の写真を撮ったときは手が震えていたけど、塩尾瀬が背中を擦ってくれた…。

 葉が増えていくたびに、あたしの淡い思いに金が混じり始めて、どんどん勢いを増していったんだ。

 そうして開花するまでに数えきれないほどのやりとりを得て…。