土曜日の朝、図書館で花の図鑑を見ていた友梨があたしの袖を引っ張った。
「これ、前に一花が見せた栞の花よ」
「あ、本当だ。そう、サルビア…。塩尾瀬が教えてくれたやつ…」
「四月の終わりごろに種まきするみたいね。来年植えてみる?」
「いいね、植えたい! あ、千日紅が枯れたら何植えるか決めないと…」
溢れかえった写真の束をカバンから引っ張り出すと、友梨が呆れた視線を向けてきた。
「あんた…アルバムに仕舞ったら?」
「その発想はなかった…」
「そうよね。むかしから写真撮って印刷したら、あちこちに配り歩いてたし。写真立てに入れる習慣も一花の頭にはなさそう」
全くもってその通りだったので、反論できないまま写真の表面に触れた。