放課後に職員室に向かうと、孝橋先生に写真のコンテストの応募用紙を渡した。
 一緒に貼りつけた写真に気付いて、孝橋先生はひょろひょろの体を折り曲げてじっと見つめた。

「今年も綺麗だな」
「ほ、本当ですか? 次は金賞とか取ってみたいなあって思うんですけど」
「入賞しただけでも我が高校においては自慢すべきことだよ」

 やわらかな眼差しで写真を見てから、その視線をあたしに移した。

「縹の父親から聞いたけど、もういじめは大丈夫そうか?」
「あ、はい。友梨とは和解して…」

 和解と言っても謝られていないし、よくわからない距離感を保っているけど先生には言えなかった。