「…俺が笑ったらどうなんの?」
「深くは考えてなかったけど、そのとき言うよ」
「……ふうん」

 あたしは肩に引っ掛けていたカバンから、あのひまわり畑で撮った写真を引っ張り出した。

「これ、九月のコンテストに応募しようと思うの。これとは別にコピーした写真を放課後孝橋先生に渡そうと思って」

 その写真を受け取った塩尾瀬は、目じりを赤くしながら「この写真に決めた理由は?」と聞いてきた。

「えっとね、明るい心の準備をしてるような空の色に、綺麗なひまわりがあるひとに似てて。一番あたしの好きな景色だったから撮ってみたの」

 自分でも上手く撮れたと自画自賛しそうになるのを堪えた。ちょっと胸を突きだしてしまったかもしれないけど、塩尾瀬は気に留めていなさそうだ。

 唾をごくりと飲んだ塩尾瀬は次第に頬を赤く染めた。

「一番…好きな」
「そう、このひまわりがね、特に…」

 そこまで言って、あたしは気付いてしまった。