「周静と会った?」
「ううん、全然見ない」

 液体肥料を慣れた手つきで与えた友梨はカバンを肩にかけ直した。そのカバンにおそろいのキーホルダーが揺れていて驚く。

―まだ友梨もつけてくれてたんだ…。

 塩尾瀬が教室に来たのは、朝のホームルームが始まる一分前だった。
 続けて孝橋先生が教室に入り、出席を取っていく。周はどこにもいなかった。

「…周静、何かあったのかな」
「早く復学するといいね」
「何その他人事」

 嫌そうに顔をゆがめた友梨が前に顔を向ける。
 周が学校に来ないことにクラスの子はびっくりしてた。
 でもあたしと友梨が平然と話していることのほうが周りのひとからすれば興味をそそられたようで、じろじろと視線を向けられた。