きょうの帰りに意を決して聞いてみようと胸に誓いを立て、どんどん離れていく背中を追いかけた。
いつもの服装で出迎えたおじいちゃんは、丸眼鏡をかけ直しながらお守りを見つめた。
「この栞みたいなのって、どうやったら作れる?」
「ああ…、押し花か。スノードームならわかるんだがね…、隣町の大通りから外れた場所に花屋があるだろう。あそこなら愛想のいいばあさんが出迎えてくれて、優しく教えてくれるよ」
「そうなんだ! 塩尾瀬行ってみようよ」
「うん」
一通り店内を見たあと、おじいちゃんに開花した百日草の写真を渡すと喜んでくれた。
「綺麗なもんだ。いつかは店の周りにでも植えてほしいね」
「いいの? 植えれそうなところないけど…」
「今度花壇を用意しよう」
「ありがとう、どんな花を植えるかまた決めようね」
きょう渡した写真をさっそく壁に飾るおじいちゃん。お気に入りの一枚を誰かと共有できるのは本当に嬉しい。