沈黙を続けながら花を見守る塩尾瀬に、あたしは制服の胸ポケットからお守りを取り出した。

「ね、このお守りの作り方知ってる?」

 お守りに視線を向けた塩尾瀬はどこか疲れた様子で首を横に振った。

―本当に…聞かなくていいのかな。何かあったのかくらい聞いても…離れていかないかな。

「塩尾瀬…、その聞きたいことがあるんだけど」
「雑貨屋」
「え?」
「あそこなら作り方知ってるかも。行ってみようぜ」

 明らかに言葉を遮られたことがわかって、ちょっとだけむっとしてしまう。
 頬に詰め込んだ空気を吐き出すと、さっさと道具を片づける塩尾瀬の背中を見つめた。

―このまま夏休みが終わったら…、新学期からは話すことすら出来なさそう…。