どこか子どもっぽく聞こえる言葉に、あたしは友梨が意地悪する前の姿に戻ってくれたような淡い期待を抱いてしまう。

―「…周静、いまどこにいるかわかんないの。私ずっと探してるんだけど、隣町のひとと会ってるくらいしか目撃情報なくて」
「…そうなんだ。でも、きっと帰ってくるよ」
―「一花が迎えに行けば帰ってくるんじゃない?」
「友梨…」
―「私は、いつまで経っても二番目だから。いつだって周静の一番になれないってわかってる。自分の性格も幼さも受け入れてるし、嫌いな一面を変えることもできないから」

「友梨があたしのこと、優しくて素敵だねって言ってくれて嬉しかったよ」
―「いつの話よ」

 呆れたような笑い声が聞こえたあと、友梨は電話を切った。
 こちらの様子を窺うお母さんに大丈夫だと伝えると、また居間に戻った。