ひまわりはわかったけど、他は知らない花ばかりだ。
―塩尾瀬なら知ってるのかな…。あたしも花の図鑑とか見ようかな。
おばあちゃんの病室に入ると、ベッドに寝転んで目を閉じてる姿を見つけた。
「寝ちゃってる…」
「残念ね」
起こすことはできないから、お母さんとしばらく話したあとに病室を出た。
「でも顔を見れてよかった」
「…そうね、会えるうちに会っておかないと後々後悔してしまうから。これからお見舞いに行くときは一花も一緒に行きましょう」
病院からおばあちゃんの家に帰ると、受話器を見たお母さんが思い出したように言う。
「そういえば友梨乃ちゃんから電話がかかってきたのよ」
「え、友梨から?」
最後に電話で話したときは気まずかった思い出があるから、今度は明るい内容がいい。
「ちょっと電話するつもり? もう関わらないほうがいいわよ」
「変な空気になったら切るよ」