「ちょっと早くしなさいよ。みんな走り込みから帰ってくるわよ」
今年の二月ごろから入部したけど、日に日に朝起きられなくなっている。
体が毎日鉛のように重くって、おばあちゃんのご飯を食べながら寝てしまうこともあった。
「…もういい、あした倍で走り込みだから」
余命宣告されたかと思ったくらい、その言葉は重く伸しかかってきた。
「部費の申請行ってきて。職員室ね」
「はい」
手渡された書類を受け取ると、友梨が「ジュース買ってきて」と言った。
地面に手を突いたままだったあたしの頭上から、スポーツ飲料水の匂いが漂う。
ぼたぼたと流れ落ちる液体は、全部頭の上に当たって、髪が濡れていく。