でも、みんな自分のカメラを使いたくなかった。あたしと同じようなデジタルカメラを持っているひともいたけど、親から借りているという理由で嫌がった。

 だからあたしのカメラを使いたいと言い出して、あたしも一度は断った。

 だけど、あたしは同級生のひとに言い負けてしまい、結局はお母さんに許可をもらって、みんなで使うことになった。
 初めはあたしが写真を撮ることが多かったけど、いつの間にかいろんなひとの手に渡るようになって、写真はどんどん集まっていった。

 写真を撮るだけならよかった。
 あたしは体力がなかったし、先輩たちのもとに行って写真を撮る許可を貰うのも勇気がいるから、他の子が行ってくれて助かったのも事実だ。

 問題は写真の中に周が紛れ込んでいたことだった。

 先輩じゃないのにどうして、と問えば、あっけらかんとした態度で、名前の知らない同級生の男の子が言った。

――だって、浅咲、有名じゃん。あの野球部のヤツが好きだって、どのクラスも、どの学年も知ってる話だぜ。

 だからカメラを借りたお礼に撮ったんだと言った。