塩尾瀬が英語の教科書を広げる。
英単語の並べ方がわからなくなって苦戦してたページだ。あたしの新品みたいな教科書と違って、塩尾瀬の教科書はたくさん赤ペンで書きこんであった。
「英語って本当に頑張れば海外に行けるようになるの?」
「そうだな、あとは英会話もクリアできれば。行きたい国とかあんのか?」
「映画とかよく見てたから、アメリカとか素敵だなぁって」
でも所詮は夢物語だ。海外に行ったら荷物全てを失うと思ってる。
「俺も博物館とか世界遺産とか、観光名所は行ってみたい」
「もし行けるならお金貯めないとだね」
「あとで、ここの図書館がバイト募集してるか聞いてみれば?」
塩尾瀬の提案に言葉が詰まった。