おばあちゃんの家の隅っこに置かれた蔵から自転車を引っ張り出し、綺麗に掃除して玄関に置いた。

「おばあちゃん、図書館で勉強して、お昼ご飯食べてくるね」
「あらまあ、凄いじゃない」

 おばあちゃんは図書館に行くことを知ると、喜んで飲み物とお昼ご飯のお金をくれた。

「熱中症にならないように気を付けるのよ」
「うん」

 お母さんの言葉に頷くと、あたしは自転車を押しながら門のところで待っていてくれた塩尾瀬のもとに急いだ。
 図書館は隣の町にあって、自転車で向かうと大体三十分もかからない。
 あたしの通ってる学校の体育館くらいの広さで、本は種類豊富で一日いても飽きない。

 夏休みだからか、多くの子どもが出入りしてる。あたしが小学生のころは全然本を読まなかったから、友梨に付き合ってたまに訪れる程度だった。