―きょうはまだ一緒にいれるんだ…。
その事実を噛みしめているあたしに塩尾瀬が言葉を続けた。
「自転車で大体三十分はかかんねーくらいかな。帰りは送ってやれねーけど、それでいいなら」
「う……うん、あの、行く前に自転車取りに行っていい?」
「うん」
しゃべるたびに息が耳に掠めてくすぐったい。
―ど、どうしよう。よくわかんないけど、塩尾瀬が傍にいるとすごくドキドキする…!
塩尾瀬に紙を返すとそのまま離れた。変な汗をかいていないか不安になったけど、ここでおろおろしていても塩尾瀬を困らせるだけだ。
「べ、勉強会は、シフト入ってない日でいいの? あ、でも休みたいよね…次の日が休みの日とか、そうときのほうがいいのかな」
「シフトまでの時間に勉強して、時々昼ご飯も一緒に食べようぜ。そのときは奢るから」
「えっ、えっと……お、奢ってもらうのは申し訳ないっていうか」
「まあ、お前の都合に合わせるけど。俺は連日で構わないから」