夏休みが始まっても、早朝に集まって花の世話をするのは変わらない。

 最後まで周は来なかったし、周のお父さんに会うこともなかった。

 友梨のお母さんがおばあちゃんの家に押しかけることもなく、平穏な日々が続いてる。

 玄関にはまだ塩尾瀬の傘が立てかけられたままで、返すタイミングを見失っていた。


「勉強会はいつごろするの?」

 いまにも開花しそうな百日草を見つめる。開花したあとの花は綺麗だけど、花びらが枯れていくのも見届けなければならない。

「そういえばシフトの紙持ってきたんだ。メモ取れるか?」
「あ、うん…」